皆さん、こんにちは。
岡山で不動産の売却をサポートする、さんぜろ不動産の日下(くさか)です。
「解体業者から見積もりを取ったら、金額に大きな差があって困っている」
「一番安い業者に頼めば良いのでは?」
解体工事で最も多いトラブルが、「安すぎる業者」による被害です。
実は、「安い見積もり」には、以下のような深刻なリスクが潜んでいます。
これらのトラブルは、適正な業者選びとマニフェストの確認を徹底することで、すべて防ぐことができます。

今回は、岡山エリアの適正費用、悪徳業者の手口、そして絶対に確認すべきマニフェスト(産業廃棄物管理票)について、徹底的に解説します。
このシリーズの内容を、音声でさらに詳しく解説しています。
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| 回数 | タイトル | 内容概要 |
|---|---|---|
| 【第1回】 | 失敗しない建物解体と不動産売却―解体の判断基準と放置する6つのリスク | 解体の判断基準/放置リスク6種/古家付き土地の選択肢/さんぜろ不動産の戦略 |
| 【第2回】 | 失敗しない建物解体と不動産売却―解体前に絶対確認すべき5つのポイント | 境界線/擁壁・水路/ライフライン/アスベスト/近隣挨拶/買主視点の重要性 |
| 【第3回】 | 失敗しない建物解体と不動産売却―解体業者の選び方と費用の真実 | 岡山の適正相場/安すぎる業者のリスク/マニフェスト/補助金/売主を守る契約書 |
| 【第4回】 | 失敗しない建物解体と不動産売却―地中埋設物と整地の重要性 | 地中埋設物の法的責任/整地の種類と効果/真砂土整地/買主が求める土地の状態 |
| 【第5回】 | 失敗しない建物解体と不動産売却―不用品処分と親族調整の進め方 | 不用品のリスク/親族間調整3つのコツ/売却7つの鉄則/ワンストップサポート |
→ 今回は【第3回】です
読了時間:約12分
前回(第2回)では、「解体前に絶対確認すべき5つのポイント」について解説しました。
特に重要なポイントは以下の3つです:
今回は、その続きとして「解体業者の選び方と費用の真実」について詳しく見ていきます。
| 構造 | 坪単価 | 30坪 | 40坪 | 50坪 |
|---|---|---|---|---|
| 木造 | 5万円〜8万円 | 150万円〜240万円 | 200万円〜320万円 | 250万円〜400万円 |
| 鉄骨造 | 6万円〜9万円 | 180万円〜270万円 | 240万円〜360万円 | 300万円〜450万円 |
| RC造(鉄筋コンクリート) | 7万円〜10万円 | 210万円〜300万円 | 280万円〜400万円 | 350万円〜500万円 |
| 要因 | 内容 | 費用への影響 |
|---|---|---|
| ①立地条件 | 道路の幅(4m未満は割高)、重機の搬入可否、住宅密集地 | 狭小地・密集地は+20〜30% |
| ②建物の状態 | 老朽化の程度(倒壊の危険)、アスベストの有無 | アスベスト撤去で+10万円〜200万円 |
| ③付帯工事 | ブロック塀、庭木、井戸、浄化槽の撤去 | ブロック塀1万円/m、庭木3万円〜10万円/本 |
| ④廃棄物の量 | 不用品、家具、残置物の量 | 2tトラック1台あたり5万円〜10万円 |
| ⑤時期 | 繁忙期(3月・9月)は割高 | 閑散期(1月・8月)は−10〜15% |
岡山エリアの解体費用は、全国平均と比べてやや安めです。理由は以下の通りです:
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ①処分場が近い | 岡山市内には、産業廃棄物の中間処理施設が複数あり、運搬費用が安い |
| ②競争が激しい | 解体業者が多数あり、価格競争が激しい |
| ③地価が安い | 地価が安いため、解体業者の経費(事務所・駐車場)も安い |
ただし、「安すぎる業者」には要注意です。適正価格を大幅に下回る見積もりは、不法投棄や追加請求のリスクがあります。
実際の解体工事の内訳を、詳しく見ていきます。
物件概要:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 岡山市南区 |
| 建物 | 木造2階建て、4LDK、40坪 |
| 状態 | 築40年、老朽化、アスベストなし |
| 立地 | 道路幅5m、住宅密集地 |
解体費用の内訳:
| 項目 | 費用 | 詳細 |
|---|---|---|
| 本体解体工事 | 240万円 | 40坪×6万円/坪 |
| ブロック塀撤去 | 15万円 | 15m×1万円/m |
| 庭木撤去 | 8万円 | 2本(1本4万円) |
| 浄化槽撤去 | 12万円 | 5人槽 |
| 整地・転圧 | 10万円 | 重機で転圧 |
| 廃棄物処理 | 30万円 | 木材、瓦、コンクリートなど |
| 諸経費 | 20万円 | 事務手数料、保険料など |
| 合計 | 335万円 |
付帯工事の詳細:
| 項目 | 詳細 | 費用 |
|---|---|---|
| ブロック塀撤去 | 高さ1.2m、長さ15m 重機で撤去し、コンクリート塊を処分場に運搬 | 15万円 |
| 庭木撤去 | 松の木2本(高さ5m) 根っこまで撤去し、処分場に運搬 | 8万円 |
| 浄化槽撤去 | 5人槽(地中1.5mに埋設) 掘削して撤去し、処分場に運搬 | 12万円 |
この事例のポイント:
解体で発生した廃材を、正規の処理施設に運ばず、山林や空き地に不法投棄する業者が存在します。
法的リスク:
| 対象 | 罰則 |
|---|---|
| 業者(実行犯) | 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金 法人の場合、3億円以下の罰金 |
| 施主(所有者) | 業者の不法投棄を知っていた、または容認していた場合、同等の責任を問われる可能性 |
実例:山梨県大月市の不法投棄事件(2019年)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事件概要 | 解体業者が、解体で発生した廃材(木材、瓦、コンクリート)を、山梨県大月市の山林に不法投棄 |
| 発覚 | 近隣住民が通報し、警察が捜査 |
| 判決 | ・業者:罰金100万円 ・法人:罰金300万円 ・代表取締役:懲役2年執行猶予3年 |
| 施主への影響 | 施主も警察から事情聴取を受けたが、「業者の不法投棄を知らなかった」ことが認められ、罪には問われなかった ただし、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を受け取っていなかったため、「管理が杜撰だった」として、社会的信用を失った |
このケースから学ぶこと:
「最初は安い見積もりだったのに、工事が始まったら次々と追加費用を請求された」というトラブルが頻発しています。
よくある追加請求の口実:
| 口実 | 追加費用 |
|---|---|
| 「地中に埋設物が見つかった」 | +50万円〜100万円 |
| 「アスベストが含まれていた」 | +80万円〜150万円 |
| 「廃棄物が想定より多かった」 | +30万円〜50万円 |
| 「擁壁が崩れそうなので補強が必要」 | +50万円〜100万円 |
実例:岡山市内のFさん―200万円の追加請求
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件概要 | 岡山市北区、築45年の木造住宅、35坪 |
| 当初の見積もり | 150万円(坪単価4.3万円) |
| 業者の説明 | 「他社より50万円安いですよ!」 |
| 工事開始後の追加請求 | ・「地中からコンクリート基礎が出た」→+80万円 ・「アスベストが検出された」→+70万円 ・「廃棄物が想定より多かった」→+50万円 |
| 最終的な費用 | 350万円(当初見積もりの2.3倍) |
Fさんのコメント:
「最初は『安い!』と喜んでいたのですが、工事が始まったら次々と追加請求され、最終的に350万円もかかりました。結局、他社の見積もり(280万円)より70万円も高くなりました。『安い見積もり』には裏があると、身をもって知りました」
追加請求を防ぐ方法:
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| ①見積もりに「追加費用が発生する条件」を明記 | 「地中埋設物が発見された場合の追加費用」「アスベストが検出された場合の追加費用」を事前に見積書に明記 |
| ②契約書に「追加費用は事前承認が必要」と明記 | 「追加費用が発生する場合は、事前に施主の承認を得る」と契約書に明記 |
| ③事前調査を徹底 | アスベスト調査、地中埋設物の調査を事前に実施し、追加費用のリスクを把握 |
安い業者は、近隣への配慮が不十分なケースが多く、以下のトラブルが発生します。
よくある近隣トラブル:
| トラブル内容 | 結果 |
|---|---|
| 事前挨拶なしで工事を開始 | 近隣住民から「事前に聞いていない」と苦情→工事が中断 |
| 騒音・振動・粉塵対策が不十分 | 近隣住民から「うるさい」「ホコリが入る」と苦情→工事が中断 |
| 工事車両が近隣の通行を妨害 | 近隣住民から「車が出せない」と苦情→工事が中断 |
| 廃材が隣地に飛散 | 隣地の庭に廃材が飛散→損害賠償請求 |
実例:岡山市内のGさん―工事中断で25万円の追加負担
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件概要 | 岡山市南区、築40年の木造住宅、30坪 |
| 業者選び | 格安業者に依頼(坪単価4.5万円、総額135万円) |
| トラブル | ・近隣挨拶なしで工事を開始 ・隣人から「事前に聞いていない」と苦情 ・市に通報され、市の職員が現場を視察 ・市から「近隣住民への説明が不十分」として、工事の一時中断を指示 |
| 結果 | ・工事が1週間中断 ・中断期間の追加費用:25万円 ・Gさんが急遽、隣人に謝罪し、粗品(5,000円の菓子折り)を持参 |
Gさんのコメント:
「格安業者に依頼したのですが、近隣挨拶を一切せずに工事を始めました。隣人から苦情が入り、工事が1週間も中断してしまいました。結局、追加費用25万円がかかり、『安かろう悪かろう』を実感しました」
解体で発生した廃材が、適正に処理されたことを証明する「ゴミの追跡伝票」です。
産業廃棄物処理法により、マニフェストの発行は義務です。発行しない業者は、不法投棄のリスクが極めて高いため、絶対に避けてください。
| 段階 | 担当 | 内容 |
|---|---|---|
| A票 | 排出事業者(施主) | 廃棄物の種類・量を記載 |
| B票 | 収集運搬業者 | 廃棄物を収集したことを証明 |
| C票 | 収集運搬業者 | 中間処理施設に運搬したことを証明 |
| D票 | 中間処理業者 | 中間処理(破砕・焼却など)が完了したことを証明 |
| E票 | 最終処分業者 | 最終処分(埋立など)が完了したことを証明 |
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| ①E票を受け取る | E票(最終処分完了の証明)を必ず受け取る E票が発行されない場合、不法投棄の可能性 |
| ②5年間保管 | マニフェストは5年間保管する義務がある |
| ③電子マニフェストも可 | 紙のマニフェストだけでなく、電子マニフェスト(JWNET)も有効 |
Hさんのケース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件概要 | 岡山市中区、築50年の木造住宅、40坪 |
| 業者選び | 格安業者に依頼(坪単価4万円、総額160万円) 「マニフェストは不要です」と業者が説明 |
| トラブル | 工事完了後、近隣の山林に廃材が不法投棄されているのが発見され、警察が捜査 廃材の中に、Hさんの住所が記載された郵便物が見つかり、Hさんが特定される |
| 結果 | ・警察から事情聴取を受ける ・業者は逃亡し、連絡が取れない ・Hさんは「マニフェストを受け取っていなかった」ため、「管理が杜撰だった」と判断され、社会的信用を失った ・不法投棄された廃材の撤去費用(約50万円)を、Hさんが負担することに |
Hさんのコメント:
「業者が『マニフェストは不要です』と言うので、『そんなものか』と思っていました。まさか不法投棄されるとは思わず、警察から事情聴取を受けたときは、本当に驚きました。マニフェストの重要性を、身をもって知りました」
提携解体業者はすべて、マニフェストの適正管理を徹底しています。E票のコピーを施主にお渡しし、5年間の保管をサポートします。
また、電子マニフェスト(JWNET)を利用している業者も紹介し、紛失のリスクを回避します。
| 項目 | 内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| ①建設業許可または解体工事業登録 | ・500万円以上の工事:建設業許可が必須 ・500万円未満:解体工事業登録が必須 | 許可番号・登録番号を確認 国土交通省のサイトで検索可能 |
| ②マニフェストの適正管理 | E票の発行・5年間保管を約束できるか | 契約書に「E票を施主に渡す」と明記 |
| ③アスベスト調査の実施 | 有資格者(石綿含有建材調査者)による事前調査 | 資格証のコピーを確認 |
| ④近隣対応の実績 | 事前挨拶、騒音・振動対策、クレーム対応 | 過去の施工事例、近隣住民の声を確認 |
| ⑤損害保険への加入 | 工事中の事故・損害に対応できる保険 | 保険証券のコピーを確認 |
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| ①「坪単価」だけでなく、付帯工事・廃棄物処理費用を含む総額 | 見積書に、ブロック塀撤去、庭木撤去、浄化槽撤去、整地、廃棄物処理費用を明記 |
| ②追加費用が発生する条件を明確にする | 「地中埋設物が発見された場合」「アスベストが検出された場合」の追加費用を事前に見積書に明記 |
| ③契約書に「追加費用は事前承認が必要」と明記 | 勝手に追加請求されないよう、契約書に明記 |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 特定空家、または1年以上居住していない空き家 |
| 補助額 | 解体費用の1/3、上限50万円 |
| 申請期限 | 2025年2月14日まで(報告期限) |
| 問い合わせ | 岡山市住宅課 086-803-1466 |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 道路に面したブロック塀等(高さ1m以上) |
| 補助額 | 撤去費用の2/3、上限15万円 (見積額または塀の長さ×9,000円/mの低い方) |
| 申請時期 | 工事着工前に申請が必要 |
| 問い合わせ | 岡山市住宅課 086-803-1466 |
補助金の申請書類作成、行政への提出代行を無料でサポートします。
さんぜろ不動産では、解体工事の契約書に、「売主を守る条項」を明記し、売主のリスクを最小化します。
記載例:
「地中埋設物については、売主の知る限り存在しない。解体時に、基礎は地中1m以上まで掘削し、完全撤去した。万一、引き渡し後に地中埋設物が発見された場合でも、売主は責任を負わない。ただし、売主が地中埋設物の存在を知っていた場合は、この限りでない」
ポイント:
記載例:
「解体時に、基礎は地中1m以上まで掘削し、完全撤去したことを、写真で記録した。写真は、売主が5年間保管する」
ポイント:
記載例:
「引き渡し後に発見された瑕疵(雨水が溜まる、雑草が生える、地盤が沈下する等)については、売主は責任を負わない。ただし、売主が瑕疵の存在を知っていた場合は、この限りでない」
ポイント:
注意:
免責特約は、売主が「悪意」または「重大な過失」がある場合は無効になります。そのため、解体時に徹底的にチェックし、「売主は善意である」という証拠を残すことが重要です。
次のステップは、「地中埋設物と整地の重要性」を知り、解体後のリスクに備えることです。
A. 3社程度が適切です。あまり多すぎると比較が困難になります。金額だけでなく、対応の丁寧さ、説明の明確さ、マニフェストの発行、アスベスト調査の有無も重視してください。
A. はい。産業廃棄物処理法により、マニフェストの発行は義務です。発行しない業者は不法投棄のリスクが極めて高いため、絶対に避けてください。
A. 工事着工前に申請が必要です。着工後の申請は認められません。さんぜろ不動産では、申請書類の作成から提出まで無料でサポートします。
A. 岡山エリアの木造住宅の適正相場は5万円〜8万円/坪です。これを大幅に下回る見積もり(例:3万円/坪)は、不法投棄や追加請求のリスクがあります。また、見積書に「付帯工事(ブロック塀、庭木、浄化槽)」「廃棄物処理費用」が含まれているか確認してください。
A. いいえ。免責特約は、売主が「悪意」または「重大な過失」がある場合は無効になります。そのため、解体時に基礎を地中1m以上まで完全撤去し、写真で記録を残すことが重要です。
次回のテーマ:
✅ 解体業者の紹介:信頼できる解体業者を紹介
✅ 境界確定・測量:土地家屋調査士と連携し、境界トラブルを防止
✅ アスベスト調査:2025年法改正に対応した専門業者を手配(マニフェスト確認代行)
✅ 地中埋設物の確認:解体業者と連携し、売却後のトラブルを防止
✅ 真砂土整地の手配:物件価値を最大化
✅ 補助金申請サポート:補助金の申請代行
✅ 不用品処分:遺品整理士との連携や適正処分・買取までサポート
✅ 親族間調整:相続の専門家と連携し、親族間の合意形成をサポート
✅ 売却戦略:「売主リスク最小化×買主満足度最大化」の売却戦略を提案
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このシリーズの内容を、音声でさらに詳しく解説しています。
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